Volkshochschuleって何? 通称VHSで学ぶ、教える

ドイツで生活
スポンサーリンク

前回の投稿で職業訓練の方法としてAusbildungやPraktikumを紹介しました↓

上記の記事の中にも出てきたVolkshochschule。

AusbildungやPraktikum よりとっつきやすい、この機関についてまとめてみます。

Volkshochschule ドイツ版、生涯学習センター

ドイツの大概の都市には設置されているVolkshochschule。

読み方は「ホルクスホーホシューレ」です。

直訳すると「国民学校」ですが、戦時中の小学校ではなくて、むしろ「生涯学習センター」と言った方がしっくりきます。自治体の直接の出資によって住民に開放されている学校です。

生涯の学習が対象ですから、コースも多彩。

趣味の延長線上の語学、絵画、写真と言ったものから、ビジネスイングリッシュ、芸術学校受験を目指す本格的芸術コース、プロが教えるカメラマン講座、オフィススイートの資格習得講座、秘書育成過程、高校卒業検定受験講座、などなど将来につながる本格的なものまでいろいろ揃っています。

就職活動を有利に進めるのに役立ちそうな講座もありますね!

通称はVHS (昔のビデオテープではないですよ) ですので、”VHS Berlin”のように居住している都市名と合わせて検索してみましょう。

良い点

公的機関ですから、授業料がお安い

リーズナブルに資格習得の直前まで受講できるのがいいところ。(多くの場合、検定試験は個別の認証機関が実施しています。Volkshochschuleではその試験までは管轄していません。受講者が独自で申し込む必要があります。)

また若い生徒から、現役をリタイアされた方まで幅広い層が一つの教室で受講しています。

授業の開催場所はVolkshochshuleの本部の建物の事もあれば、地元の学校の教室を借りていることもあります。普段はあまり関わりのない学校の中をのぞけるのも面白い経験です。

残念な点

ただ、他の私設教育機関と以下の点でまるっきり異なります。

  • 学期始まりが固定されているところ
  • 受講生への手厚い個別対応はあまり期待できない

”さぁ始めよう!”と思った時に、もう授業が始まってしばらく経過していた。とか、定員オーバーで次学期に回された。ということはよくあります。

また開催地によっては毎日開催のものが少なく、週に1回2回のコースがメイン、ということもありえます。ですので、短期的に集中して技能習得したい、レベルアップしたい、という場合には物足りない場合もあります。

常勤しているスタッフは、運営に携わっているだけなので、個々の受講生のカウンセリングは担当していません。なので受講相談は必要最小限です。

web上の情報と、都市によって配布している開催講義一覧の冊子をよく読み、講義内容と開催日時を確認することと、どのコースがいいのか吟味することが大事です。

(私立の訓練校で学びたい方はこちら↓)

筆者の体験談:日本語教師として働く

ちなみに、私はこのVHSで日本語の講師をしていたことがあります。マンガやアニメはこちらでも人気ですし、コスプレイヤーさんも気合の入った方が増えてきています。

そうした方達が日本について知って行く上で、現地の言葉でしゃべってみたい!と思うのはとても自然なこと。毎学期、たくさんの受講生が応募してきて、なかなか盛況でした。

ただ、少し切なかったのは、レベルが上がるたびに受講生の数が減ってしまうこと。

日本語を習い始める動機として、アニメは大きな役割を果たしています。ただし初心者がアニメに出てくるキャラクターの言い回しを聞いて、しゃべって、理解するというのはなかなか大変です。日本語自体、言い方や語尾変化、尊敬語・謙譲語・丁寧語などとてもバラエティに富んだ言語なのです。ある一文を抽出して訳すのであればとてもシンプルですが、その文法事項だったりキャラクターの話し方の背景などを教えていくとキリが無くなる。そしてそういった背景を解説するには、ある程度の日本語の知識が必要。初心者をそのレベルにまで引き上げるにはかなりの時間がかかります。そして多くの受講者はそこまで待つことが難しい。 また多くの場合、初歩のレッスンは反復練習を要求するものが多いことも事実。 魅力あるレッスンづくりに力を注いできましたが、日本語教室に行ってすぐにアニメを理解したいし、キャラクターのように話したい!という層は引き止めるのが難しかったです。

ただしその一方で、中には漢字習得を極める生徒、ひたすら日本のドラマを見てその感想をいつも届けてくれる生徒、プロレスにハマり各選手のプロフィールを紹介してくれる生徒、プロ顔負けなレベルで漫画キャラクターのイラストを描く生徒などいろんな生徒がいました。それぞれのレベルは私などとうに超えていて、こちらも勉強できたことがよくありました。語学はアートに似たところがあって、はまればはまるほど、貪欲になればなるほど、実力は向上します。そういった生徒たちの日本に対する理解に、少しでも役に立てたとすれば、これほど嬉しいことはないです。

まとめ

いかがでしたか?

講座を通して異文化間の架け橋にもなっているVolkshochschule、ぜひ一度のぞいてみてください。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました