2019年6月にドイツ国内で解禁されて以降、急速に普及している電動キックボード。
長距離を走るのにはあまり向いていないですが、近距離を走るにはとてもお手軽な手段として認知されつつあります。
電動キックボードとは
一般的なキックボードは自分で蹴って進まないといけないので、緩やかな上り坂が続いている所などは少し辛かったりするのですが、電動キックボードは手元のレバーを押下するだけで時速20kmで進んでくれる、とっても便利なもの。
基本的にレンタルですが、歩道その他に置かれているものをスマホアプリを通して認証させ、すぐに走り出すことが出来ます。また返却時は乗り捨てが可能。これもスマホアプリ内で降車処理を行えば、すぐに反映してくれます。以降はアクセルレバーを押下してもうんともすんとも言いません。
運営会社
私の居住しているドイツ西部で観察していると、現在4社の電動キックボードレンタルサービスが展開されています。
郊外への展開にやや差が見られますが、基本的にどのサービスも新市街地と旧市街地をメインに展開されています。
サービス内容
有人のレンタルステーションのようなものは設置されておらず、歩道などにまとまって電動キックボードが置かれているだけ、といった感じです。
乗り方
各車両にはQRコードが振られていて、それを読み込もうとすると初回利用時にはアプリのダウンロードが促されます。すでにアプリをダウンロードしていて支払い方法などの個人情報基録している場合は、読み込み後すぐに貸し出し画面に遷移します。
貸し出し画面で「OK」をタップすれば、すぐに走り出すことができます。
4社全ての電動キックボードでバーハンドルが採用されていて、フレーム・前輪後輪・足の踏み板ととてもシンプルな構造。踏み板部分は1人で乗るには長めにつくられていて、それがもとで禁止されている2人乗りをする人も相当数います。踏み板下部にリチウムイオン充電池が搭載されていて、動力はこれになります。
実際乗ってみましたが、時速20kmというのはなかなか興味深い速度です。無人の通りを走る際は、「お、意外とスピード出るじゃないか」と感じますが、車の通っている車道の自転車道を走っていると、いくらフルアクセルにしても一定の速度ですから、物足りなさを感じます。
試しにサービス展開エリア外も走ってみましたが、スピードが時速5kmまで急激に落ち、回復することがありませんでした。位置情報はGPSを使ってかなり厳密に管理しているようです。
アプリ上で今どこに車両があるのか探す機能もありますから、その点においてもGPSの役割は大きいです。この機能では充電容量も合わせて教えてくれるので、より多くバッテリーが残っているものを選べば、走行途中に電池切れなどというトラブルも避けることができそうです。
料金設定
利用1回あたり1EURプラス1分ごとに15~19セントの利用料がかかります。10分乗ると3EUR 弱かかる計算になります。市内交通の1回券が2.90EURですから、これに合わせた価格設定でしょうか。
ただ、市内交通には定期券の設定がありますから、頻繁に使う人はもっと安く利用できます。そう考えるとちょっと割高で、現時点では毎日の移動手段に使うというよりは珍しいから試しに乗ってみる、といった人が多いようです。
将来的に計画はあるのでしょうが、電動キックボードでのサブスクリプション料金はまだ提供されていません。これが提供されると爆発的に普及するんじゃないかと感じます。
キックボード自体の充電
電気自動車のように、街なかに充電スタンド等があるわけではありません。基本的に運営会社のスタッフが大型バンで車両を回収して、倉庫でまとめて充電するスタイルのようです。(この点は、電気で動いて排ガスが出ないクリーンな乗り物と謳っている一方で、製造や充電に多く資源を消費していると批判されている点ですね。回収大型バンもみたことがありますが、一般的なディーゼル車でした。)
自宅で充電するとお金がもらえる?
上述のLimeは、”Lime Juicer program”と称し、利用者が自宅に持って返って満充電して路上に戻すと一定金額の報酬を出す、インセンティブ制度を設けています。
これにより運営会社は車両の維持管理に多少の余裕が出ますし、手軽な作業で報酬が発生するとあって消費者にとっても魅力的なサービスと言えるでしょう。
しかし、このLime Juicer programですがまだ大々的には宣伝されていません。あくまでも小規模で先行試行してみた後、大きく展開するのかもしれません。
シェアリングコミュニティの新しいお金の稼ぎ方として注目されています。
まとめ
アメリカではすでに都市内移動やラストワンマイルの交通手段として、広く受け入れられ普及しているイメージの電動キックボードですが、ドイツではまだ普及の初期段階といった雰囲気です。
対歩行者、対自動車でのトラブルもちょこちょこ起きているようです。「おもしろそうだから乗ってみよう」という層が多いので飲酒運転も多いのでしょう。
普段使いの移動手段としての地位を確立するには、もう少し認知度や使い勝手の向上が求められます。
上記にも書きましたが、料金設定が市内交通に比べて劇的に安い!となると利用者は大幅に拡大する余地はあると感じます。個人的にサブスクリプション展開には、本当に大きな期待を持っています。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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