ドイツでのリモートワークの実情

ドイツの職場
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新型コロナウイルスの影響で、日本政府は来月からの各種学校の休校を要請しています。

合わせて、日本の企業の中でもリモートワークの導入、もしくはすでに導入していた場合にはその深化を模索しているところが多数出てきました。

今回は、日本よりも自宅で働く割合が多い、ドイツのオフィスワーカーの実情を解説しましょう。

従業員重視のドイツ企業

ドイツでは歴史的に労働組合が強い伝統があります。企業は好き勝手に社員の首を切ることはできません。解雇通知は解雇の3ヶ月前には必須ですし、この間、転職活動など当該社員へのケアが義務付けられています。もちろん、この間、嫌がらせをしたり、不当に多い仕事量や逆に不当に少ない仕事量を割り当てることは禁じられています。あくまでも通常業務を割り当てること。とされているのです。

賃金面や待遇面では、最初の契約が特に重視されます。特段の事情がない限り、最初期の待遇を下回る待遇に処すことは禁じられています。(もちろん双方の合意がある場合や、経営状況の急転した場合などには認められます)

ここまでが法律で定められていること。ここからが、通例として認められることになります。そしてここがドイツの職場環境における注目ポイントです!

通例として従業員に認められていること

・従業員から働き方について要望があったら、職務に応じてではありますが、その要望は最大限配慮されます。

・病院にかかる際は、半日程度の遅刻や早退であれば休暇扱いになりません。

・医師の診断書があれば、シンプルに病欠扱いになり、快復までの期間は勤務が禁止されます。

上記3点とここ10年ほどのパソコンとインターネットの進化を合わせて複眼的に見てみると、何が生じるか、、、

そう、リモートワーク・ホームオフィス天国な職場環境が出現するのです!

企業は従業員から「家で働きたい」との申し出があれば、会議出席や週何日のオフィス勤務などいくつかの条件提示の上で、その要望に最大限応えようとします。(※もちろん職務によります。受付で来客を担当する従業員は自宅での職務遂行は難しいでしょうし、工場や倉庫、現場の管理者はそれを自宅で行うことは難しいでしょう。)
そして、病気療養や産休のあと完全復帰までの間、オフィスでの勤務を義務付けるのではなく、家での執務や時短勤務などに柔軟に対応してくれるわけです。

リモートワークで業務に支障はないのか

リモートワーク導入で、やはり気にかかるのが、「普段とは違う環境で業務に集中できるのか」「業務のスピード・レスポンスの頻度はどう変わるか」という点でしょう。

これは正直なところ、人それぞれです。

自宅で仕事するわけですから、プライベートの空間にビジネスが入ってくることになります。ビジネスに100%近く集中できるオフィスとは環境が全く異なります。

集中力を持続できる人もいれば、気が散ってしまう人もいるでしょう。ですので、リモートワーク導入時は、開始後もオフィスと同様の仕事ができると考える人は少数派です。でも始めてみると自宅のほうが仕事のノリが向上するという稀有な人材も意外といたりします。ここはドイツでも面白いところ。

ドイツ人とリモートワーク

では実際にどうリモートワークを導入しているのか実際のケースを見ていきましょう。

※ここで登場する人物はあくまでも一例です。各社・各従業員でそれぞれでまた違った対応がありえます。

Aさんのケース

Aさんは営業チームのトップ。3ヶ月前に第一子を出産しその後産休をとっていました。赤ちゃんとのふれあいを大事にしたい彼女は、産休明けのオフィス復帰時にリモートワークを上司に提案。その結果、月・火・水は半日のオフィス勤務で、残りの半日は自宅勤務、木曜日は全日オフィス勤務、金曜日は育休日として了承されました。

産休前から自身のタスクは同僚に分担していた彼女、プロジェクト執行など責任の生じる職務は信頼するサブチーフに権限を移していました。産休期間中もビジネス携帯はつねに身につけていたようで、いざというときは連絡が取れるようにしていたそうです。

リモートワーク開始後は常にディスプレイの前に座るということはなく、「問題が発生したらサポートする」「若手の疑問の解決に協力する」といった役に徹していきます。また社交的で顧客の受けも良かった彼女は、電話での対応やミーティングにも徐々に復帰。以前のパフォーマンスを取り戻していきます。

もともと器用だったので、自宅での業務中でも特段大きなトラブルが発生することもありませんでした。リモートワークを進めていく中で、自宅でやることとオフィスでやることを色分けしていったようです。

今でも自宅とオフィスで半々で仕事をしている彼女。もちろん、ポジションに変更はありません。産休以前よりも仕事のポテンシャルが上がることもままあるようです。

Bさんのケース

Bさんは総務畑のベテラン社員。会社内のお金の流れをすべて握っていると囁かれる人物です。

そんなBさん。不運にも事故にあい、ある種の後遺症に悩まされるようになりました。その影響もあり、業務のパフォーマンスも低下しがちに。そこで彼は会社にリモートワークを申請しようと一念発起。週2日のオフィス勤務と週3日の自宅勤務で、リモートワークを始めることとなりました。

総務の業務のほとんどを一人でこなしていたBさん。まずは、同僚と改めて役割分担と業務の引き継ぎを行いました。最初はオフィスでできることをそのまま自宅に持ち込んで、同じペースでやろうと頑張っていましたが、なかなかうまく行かず、かえって具合が悪くなってしまうこともあったと言います。

そこで、総務チームの面々がお互いにサポートしあう関係を築き始めました。今までBさんに頼っていたところを自分たちでこなすようになったのです。

Bさんは、別パートの仕事を模索するようになりました。今まで見てきた会社の実情をもとに、様々な点での合理化と無駄な点のあぶり出しです。自宅での業務は問題点の発掘と改善の可能性の調査がメインになりました。出勤日は関係各所とのミーティングです。最近の資材調達では、Bさんが先頭に立つことも多くなってきました。会社は経費削減と合理化を継続的に進められるようになり、Bさんは新しいワークスタイルに徐々に慣れてきて以前よりも活気に満ちて仕事にあたるようになりました。

リモートワーク開始時のチェックポイント

以上、ドイツでのリモートワークの実情について2つのケースを見てみました。リモートワークを始める人のきっかけは様々です。子供との関わりで始める人・病気がきっかけで始める人・そもそも自宅での作業のほうが効率が上がる人・外回りが多く元からオフィスにあまりいなかった人、などなど。

皆それぞれに自分のスタイルを見つけて、仕事と向き合っています。ほとんどの場合で働きやすさと業績が上向いているので、関係者すべてがWin-Winの状況を築いています。

そんな中で、リモートワーク成功のために気づいた点を挙げてみます。

  • 試行期間を設けて、自宅において実際に処理できる業務量を見極める。自宅での自身の集中力を客観的に判断することが大事です。どの程度の時間集中力が持続するのか。どの時間帯に集中力が上がるのか。
  • 通信環境を点検する。チャット・ビデオチャットの接続具合やサーバーアクセス・VPN設定を確認。その際、どの程度スムーズに動かせるのかも合わせて重点的に見てみましょう。
  • 持ち出し可能なデータの種類を会社側と確認。プライバシー保護が重視される時代です。オフィスと比べれば、格段に脆弱性の高い自宅でどういった種類のファイルを扱うことができるのか、しっかりと確認したいところですね。
  • 電話の通話品質。そもそも自宅にて騒音で悩まされるようなことがあれば、電話を通してスムーズな意思疎通が図れる可能性は低いです。
  • SNSアプリやチャットアプリの積極的な活用。メール以外のより使いやすくレスポンスしやすい通信手段を確保しましょう。

上記の点をブラッシュアップしていくことで、リモートワークは格段にやりやすくなります。

まとめ

日本でリモートワークに注目が集まるようになったのは、直接的にはコロナウィルスの流行です。

しかし、以前から働き方改革の風潮はあったのです。ここはやはり通勤地獄や東京一極集中から抜け出た次世代のワークスタイルを確立していきたいところです。とはいえもちろん、リモートワークが絶対正義というわけではありません。オフィスワークにも在宅ワークにもノマドワークにも、それぞれメリット・デメリットがあります。いかにバランスをとっていくかが次のステージの課題になっていくでしょう。

当ブログでは、これからもリモートワークについて精力的に取り上げていこうと思っています。

それぞれにあった働き方で、未来を明るく。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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