こんにちは。今日もドイツの片隅で「お仕事」とつぶやくブログです。
さて、2019年も年の瀬。令和最初の年ももうすぐ終わります。来年は2020年。カタールワールドカップと東京オリンピックの年です。個人的には短期集中世界的スポーツイベントを改めて見直すきっかけの年になるのでは。。。と感じています。
ドイツの政治家が使っている言葉たち
さて今回は、就活から少し離れて、我々の会話の中で使われている単語に注目してみようと思います。(ただ、もちろんドイツでのお話なので、ドイツ語の話になります)
ハンブルクが拠点の独主要新聞紙のひとつ「Die Zeit」が、独連邦議会議事録データベースから使われている単語をぬきだし、これまでにどの程度の頻度で使われたのかをクリアに表示できる特別サイトを立ち上げました。
今年で創設70周年を迎えた独連邦議会。戦後、西ドイツの成立とともにボンで創設されましたが、東西ドイツの統一のあとはベルリンにあった旧帝国議会議事堂を再構築し、堂々たる威容を今に示しています。
上記サイトは、この70周年記念イベントの一環です。
さっそく使ってみる
まず、自分で入力して試してみました。
「Japan」で調べてみると、
10万回中4回から6回。との結果。うーんこれは多いのか少ないのか?
他にアメリカとフランスも入れて比較してみましょう。
あらあら、やはり差は歴然。。。アメリカとフランスだと20回以上もザラなんですね。
ただこれだけを見ても、戦後すぐは、隣国フランスの状況はかなり気になるトピックであったのに、時が経つと実力者アメリカに話題は移っていくという興味深い結果が見えてきます。
メディアの注目度の変遷
特設サイトでは、新聞社視点でいくつか面白いトピックを例示しています。
これはテレビ(Fernsehen)、新聞(Zeitung)、インターネット(Internet)の発言回数比較グラフです。2000年頃までは、新聞も依然批判対象であったり、持論の根拠付けに使われてしまいました。しかし日本と同様、ドイツでも影響力はだんだんと落ちていますね。議会発言でもインターネットへの言及が多くなっています。
ちなみに、連邦議会で初めてインターネットのことが話題に上ったのは1994年の12月でした。
外国人への見方
他にも、外国人に対する言及模様にも変化が出ていることも俯瞰して見れます。
西ドイツでは、戦後経済の復興のために、トルコから多くの労働者を呼び寄せました。Gastarbeiterと呼ばれる存在です。Ausländerは一般的な「外国人」、Migrantenüは「移民」です。どれも基本的にはニュートラルな意味合いですが、使い分けることで微妙なニュアンスの違いが出てくる言葉たちではあります。ドイツの政治家が外国人に対してどういった感情を持っているのかも見ていくことができます。(現状、ドイツでもたしかに極右系の議員は増えています。しかし同様に移民2世の議員も増えています。)
「わたし」と「わたしたち」
これは人と人とのつながりが希薄化している証なのか、やはり連帯感を醸し出したいのか。
私自身の考えなのか、それとも他にも賛同者が居ることを強調したいのか。
発言者自らを指し示す「わたし(Ich)」「わたしたち(Wir)」にも変化が見られます。
小さい子がよく言う「1つ、2つ、3つ、いっぱい」ではありませんが、「自分の側に味方はたくさんいるんだ」とか「我が党は」と強調するときにはWirがよく使われるのでしょう。ただ最近では環境問題など、「党派を超えて考えないといけない問題」でもWirが強調して使われることも多くなってきました。
政治自身、もっと国民に寄り添うためには、少しばかり古いアイデアの「連帯」も、まだまだ大事な要素の一つでしょう。
「連帯」はSollidalitätといいます。
まとめ
連邦議会創立70周年記念で出てきた、この特設サイト。流行りのビッグデータを用いた、録音データや議事録の新たな活用方法だと思います。気になるワードを逐一入れていくことで、各年代のトレンドも見えてきますし、言葉遣いの変遷も見えてきます。
現状の問題に対してしっかり議論すること。そしてそれが政治となり社会を形作っていくこと。こういった基礎的なことを再確認させてくれるサイトでした。
ドイツ語に興味のある方、ぜひお試しを。いろいろと面白い発見があると思います。
またこのデータを使った、時代考証なども行われるといいなと感じました。今後の研究が待たれます。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント