「会社に行かない」レビュー

work style Re:読書・インプット
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こんにちは。サンチェスです。
ドイツでの働き方を模索してきた当サイトですが、改めてこれからの働き方、ヨーロッパでの働き方を見つめていきたいと考えています。

とある本を読みました


今回読んだ本は「会社に行かない」。こちらで感想を書き、その下で考察をまとめます。

全社員にリモートワーク環境を提供し、多くの社員が実践している株式会社キャスターのCOO、石倉氏の新刊本です。
本書は、コロナ禍の中でリモートワークを実践せざるを得なくなった企業が多くある中、そこから見えてきたリモートワークのリアルと、もっと根源的な日本人の働き方そのものに言及した、刺激あふれる本になっています。

日本の「正社員システム」とは、終身雇用制があって初めて成り立つスタイルなのです。いつリストラがあるか分からない現状では、日本経済は既にジョブ型の働き方に移行しつつあると言えるし、同一労働同一賃金を達成するためには、もっと推し進めなければならない。そうなると、身分が保証されている正社員というのは会社にとっては本来リスクでしかありません。

そこで石倉氏は2つの雇用契約を提案します。安定重視の昇給無しの無期契約と、1年の有期契約だけれども成果次第で契約内容がどんどん変わるもの。
適切に業務評価を行い随時更新していく労働制度の方が実情に合っているし、将来を不安がるよりも目の前の業務に集中できるのではないかという石倉氏の提言は、これからの日本を考える上での指標になるのではないかと感じました。

なかでも、正社員とベーシックインカムを同列に語るあたりは示唆に富みます。

本書はただのリモートワーク推奨本ではありません。働き方そのものに深く言及する一冊です。
気になる方は、以下のリンクからぜひご購入ください。

https://www.amazon.co.jp/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%81%AF%E8%A1%8C%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84-%EF%BC%96%E5%B9%B4%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F-%E6%99%AE%E9%80%9A%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%93%E3%81%9D%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%83%AA%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E7%9F%B3%E5%80%89-%E7%A7%80%E6%98%8E-ebook/dp/B08JYV84G8/ref=pd_rhf_ee_p_img_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=HRCCXX9ZYT1XB5Q7MFJE
以上、感想。

若干のネタバレを含む、読後の考察


若干ネタバレになりますが、少し、働き方について考えてみようと思います。

正社員制度とは

もはや終身雇用制は崩壊しているのに、「正社員」というある種の特権が残っているのはなぜでしょうか。会社自体いつ倒産するか分からないですし、会社にとってもリスクの高い採用方式のはずなのです。

もちろんこれが、戦後日本で培われてきた労働者保護の成果であることは理解しています。ただし、「正社員」が特権階級化し、その他のワークスタイルが「従」である環境はいびつでしかありません。労働者を保護するのであれば、シンプルに同一労働同一賃金を目指すべきなのです。

「無期雇用は、将来的に昇給前提ではなくなり、ある意味で安定を重視したベーシックインカムのように変容していくのではないか。」との石倉氏の指摘はとても示唆に富んでいます。

一見ドライな雇用契約

石倉氏の提案する1年有期雇用は、一見経営者主体のドライな考え方に見えます。

しかし、目の前の仕事・現状の目標に最大限の力を注ぐなら短期集中型の方が効率は上がるでしょう。スパンの長い計画を建てるのであれば、それに応じ有期契約の長さを1年ではなく複数年で調節すればいいだけの話です。
この点、スポーツ選手の契約スタイルは参考になるかもしれません。

「結果にコミットする」これは某ダイエット関連企業だけのキャッチコピーではないのです。働く人それぞれが自覚すべきテーマではないでしょうか。

社員の自由を最大限尊重する

リモートワークを通して働く場所に自由を与えるのであれば、働くスタイルそのものに対しても自由を与えなければ意味がありません。

全社員参加必須のイベントは不要。→福利厚生は個々の社員が自由に選べるスタイルのものに。

週5日勤務にとらわれない。→働く頻度・時間帯は個々の社員に任せる。働くスタイルを模索し最適解を見つけるためにも有期雇用契約は有効。

副業も認める。→他社で有能な人材があれば、その人がスポット的に自社に貢献してくれたら万々歳。

忠誠心に重点を置かない。→会社はあくまで「場」。本来出入り自由のはず。引き止めたいのであれば、がんじがらめにするのではなく、シンプルに会社の魅力を高めればいいこと。個々の社員が「売り上げに貢献したい」「もっと稼ぎたい」「今の仕事を通じて、社会をよりよくしたい」と感じられるかどうかは、ひとえにマネジメントの力量。

優秀な人材は埋もれている

今までの日本の社会は、とかくレールが意識されてきました。何を為すにもレールに乗らなければ始まらない。一度乗ったら落ちてはいけない。
しかし、人生とはそんな一度のチャンスで全てが決まってしまうものでしょうか?もっと再チャレンジができる環境でもいいはずです。

一度レールから外れたとしても、個人が持っている才能は変わりません。そして、新卒時の面接だけでその先の30年は見通せないのです。もっとフレキシブルに働いてみましょうよ。転職にしろ企業にしろ、もう少しリスクは減らせるはずです。みんながみんな一世一代の大博打を打たなくていいのです。
数あるチャンスの中のあくまで1つというとらえ方が重要。そのほうがトライ&エラーが増え、結果的に社会が活性化するはずです。

まとめ

今回は(株)キャスターCOOの石倉英明氏の著書「会社に行かない」をもとに書きました。
今、根本的に「我々はどう働くのか」が問われています。コロナ禍で社会がドラスティックに変容しつつあるこの時、真剣に現状と将来を考える必要があるのではないでしょうか。

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