ここ最近、ドイツでなにかに登録しようとすると、色んなシーンで出てくる
「POSTIDENT」
去年あたりまではそこまで見かけなかったのですが、2019年になり急速に普及してきました。
今日は、この謎なサービスについて解説していきます。
概要
”POSTと書いてあるくらいだから、Deutschepost、郵便局が絡んでる?”とにらんだ方。
さすがです!
まさにその通り。これはDeutschepostが展開しているものです。
次のヒントはIDENT。これはIdentityから来てます。
この2つを合わせると、、、
正解は
Deutschepost(郵便局)が提供している個人認証サービスです。
これまでは、各企業がそれぞれの窓口で種々の手続きや登録などを行ってきました。
しかし、ネット環境の急速な発展により、窓口や人を介さない登録や手続きの量が急増。
ネット上の認証手段もいろいろと模索されたのですが、アカウント乗っ取りなどクラッカーの手段もだんだんと巧妙になってきて、電話確認やSMS送信確認なども不安定なものに。
高性能なスマホも普及してきたこともあり、個人認証の新しい枠組みが必要とされていました。
そこで出てきたのがPOSTIDENT。
Deutschepostはもともとは公営の郵便局でしたが、民営化された企業。とは言えまだ半官半民のような状態です。
ですから信用はおけるサービスと言えます。
POSTIDENTの個人認証システム
実際にどのような個人認証を提供しているのでしょうか。
- 店頭の窓口での本人確認
- ネット上でビデオ通話を用いた本人確認(パソコン利用)
- アプリをダウンロードした後、スマホのカメラを利用した身分証明書の撮影と顔写真の撮影による本人確認
- アプリをダウンロードした後、スマホによるビデオ通話を用いた本人確認
1の場合はフェイストゥフェイスでの個人認証ですね。必要書類とパスポートなどの身分証明書を持って郵便局窓口にて手続きします。
2、3、4の場合は、自宅で手続きが可能です。その際も身分証明書が必要で、カメラの前で、確実に自分の書類であることを証明するため、片手に持ったまま一緒に写る必要が出てきます。(傍から見るとちょっと滑稽ではありますが)
どんなシーンで使われる?
個人的に確認したところ、下記のサービスで導入されていました。
- 健康保険の個人ポータルログインキー発行
- クレジットカード発行
- オンライン銀行口座開設
- カーシェアリングサービスへの個人情報登録
- 携帯電話、プリペイドSIMの購入
こちらに住んでいる人にとっては、何らかのサービスへの登録時に必須なものばかりです。
ちなみにビデオ通話の認証ですが、相手はもちろん現地のスタッフです。英語も使えるようですが、やはり基本はドイツ語。ドイツ外から来ている住民にとって、少しハードルの高いサービスではあります。
ポータルサイトでは窓口で認証も可能となっているのですが、アプリが絡んでいるものだと、強制的にビデオ通話が始まってしまうものも多々ありました。ドイツ語が流暢ではない人間が利用することも多いので、オンラインか郵便局店頭での確認かの選択はきっちり残してほしいと感じます。
個人的には、プリペイドSIMの発行に必要になってきたことにはちょっとびっくりしました。
プリペイドSIMは旅行などの短期滞在で、通話やデータ通信にかかる費用を抑えるということで、一定の需要がありました。が、POSTIDENTが導入されつつあることで、旅行者には購入のハードルが上がったように感じます。
今後の展開
今後、どういった形で展開されていくのか。
これから強力なライバルが出てこない限り、本人確認・個人認証の分野ではPostidentの一人勝ちの状態です。
ネット上完結で、リアル店舗が存在しないビジネスが増えている以上、この分野における期待値はいっそう高まるでしょうし、標準を作ってしまうえば、今後は国境を越えて国外への展開も視野に入ってくると思います。(Deutschepostも先見の明があるなと、一人感心してしまうところです)
既存の企業にしても、削れる人件費は削りたいのが本音です。また確実に本人が確認できるシステムであれば、導入に前向きな企業はいくらでもあると考えます。数年後にはポイントカードを作るだけでも、ビデオ通話による本人確認が必要になるかもしれません。SNSにも導入されるかもしれませんね。
その分Deutschepostには、より高次の個人情報保護のセキュリティが求められます。ある意味で国家についで膨大な生の個人情報を得ることになります。理想は承認の都度、写真や確認ビデオを消去することですが、こんなにおいしいデータをそうポイポイと捨てる企業もないでしょう。
また将来の可能性として、「一度Postidentで証明してしまえば以降の本人確認はそのデータもとに行い、いちいちビデオ通話などはしない」といった利用法も考えられます。
まとめ
IT環境で先進性があるのは「エストニア」とここ最近叫ばれていましたが、「ドイツ」も着々とシステムを組み上げてきています。このサービスがこれからの情報化社会の標準になっていくのか、要注目です。
(情報セキュリティについてはこちらの記事もどうぞ↓)
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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