夏時間と冬時間

ドイツで生活
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今日からヨーロッパと日本の時差が1時間変わって、7時間から8時間になります。東京オリンピック関連でも話題になったサマータイム。こちらでは現役です。

今回は時間のお話をしましょう。

夏時間って何?

ドイツを始めとするヨーロッパ諸国では、年に2回、家中の時計の針を直す必要があります。

それは夏時間を導入しているから。現在では3月の最終日曜日に夏時間が始まり、10月の最終日曜日に冬時間が始まると規定されています。

具体的に言うと、3月の夏時間開始のタイミングでは午前2時59分の次に午前4時が始まり、その日は23時間だけの日になります。夜が1時間短くなるんですね。

10月の夏時間終了のタイミングでは午前2時59分の次にもう一度午前2時が始まり、その日は25時間の日になります。よって夜が1時間長くなります。

日本は夏時間を導入していませんからこの2つの日程を境に、日本とこちらでの時差が変わることになります。すなわち、夏時間ではない10月最終週から3月第3週までは8時間の時差。夏時間中の3月最終週から10月第3週までは7時間の時差ということになります。

時計の針はいつ直す?

夏時間の開始や終了日は、事前に大々的に告知されるわけではないので、朝起きてスマホの時間と壁時計の時刻がズレている事に気づいて「あ、今日から時間変わるんだ」と意識する程度ですね。ですので、気づいたときに直します。午前3時前後の変わる瞬間にいじるということはまずありません。

インターネットが普及し、時刻調整が時刻専門サーバーを介して直接全ての情報端末でこなわれるので、かなり利便性は上がっていると思います。自宅の時計が電波時計であれば、自身で針を治す必要のない家庭ももうかなりあるのかもしれません。こちらでは、そのくらい定着しています。

夏時間のメリット

そもそもなぜこちらでは夏時間(サマータイム)が導入されているのでしょうか。

ヒントはヨーロッパの緯度にあります。僕が日本にいたときはあまり意識はしていなかったのですが、ドイツ自体、かなり北にあるんですね。日本の北海道・札幌とドイツ南部のミュンヘンがほぼ同緯度です。となると、ドイツほとんどの都市は北海道と同等かより北に位置しているんです。

緯度が高い地域は夏と冬で日照時間に決定的な差ができます。夏至と当時で比べると、よく言われるのが「夏は夜11時まで明るいのに、冬は夕方4時にはもう暗い。」といったことです。

この夏と冬で極端に変わる日照時間の長さをうまく生活の中で有効に活用させる試みです。

まず、1時間ずらすことで、体内時計と陽の長さの差がそこまで極端にずれることを防ぎます。また、すでに明るい早い時間帯に仕事を始め、陽の長い夕方以降を余暇などほかの活動に使ってもらう意図もあります。

採用しているドイツ人の本音は?

利点が多いとは言え、生活の基準である時間をずらすということにこちらで暮らす人々はどういった感情を抱いているのでしょうか?

いろんな面で自動化が進んでいるとは言え、正直な所、面倒くさいと思っている人は多いようです。世論調査でも夏時間反対の割合が年を追って増えているのも、こうした世論を反映していることでしょう。EU事務局内にも夏時間廃止を模索している作業グループがあると聞きます。

体が取り残される

「面倒くさい」以外にも体調に与える影響を指摘する論調もあります。

これは私も経験があるのですが、時間設定が変わった直後は、どうも体内時計と実際の時間が合いません。バッファーとして日曜日は1日調整の時間としてあてることが可能ですが、それでも月曜以降もあれ?という感じです。こちらの友人の中でも、時間が変わって以降の月曜や火曜は気が重いという人は多いですね。

自分のなかで感じる変化は、体が前日までの時間に閉じ込められる感覚とでもいいましょうか。繊細な人はもっといろいろな感じ方をすると思います。

街なかの時計はしばらくたってから調整される

これもドイツあるあるかなと思いますが、時間変更が行われてもしばらくの間は中心部の広場の時計、交差点の時計などは調整されません。ドイツに旅行に来て、なにか時間が違うなと思われた方もいるかも知れません。そんなときは夏時間導入・冬時間導入の後だったかもしれませんね。

バス停や電車のホームの時計などは、電波時計やパソコン制御になっているところも多く、すぐに修正されます。

導入の歴史

最初に導入されたのは1916年。第一次大戦中に導入されました。その後1918年まで2回施行され、1919年から1939年までは中断されていました。1940年に再度導入され、この時は1949年まで続きました。その間には戦後の東ドイツでソ連・モスクワの時間と合わせるため夏時間の他に盛夏時間も取り入れられたこともあります。

そして1950年に再度中断、1980年に再度復活と、紆余曲折を経て現在に至ります。

こんな背景もあるので、夏時間導入に懐疑的な人も多くいるんですね。この先もいつ中断されるかなかなか見通せないところもあります。

まとめ

その後春と秋の地味なイベント、「時間変更」。地味ではありますが、影響は大きいです。

歴史的な背景や、生活している住人の影響を見ても、絶対的な制度ではありません。

古くから、「時」を管理するというのはしばしば権力と紐付けられます。
これからどういった運用をされるのか、要注目な制度です。

※ドイツの冬は長く暗いです。日照時間の短いツライ時期の過ごし方については以下の記事にまとめました。↓ナーバスにならないための知恵が詰まっています。ぜひご覧くさい。

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