世界有数の自動車王国のドイツ。現状のディーゼル規制はどうなる?

ドイツで生活
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こんにちは。今日もドイツのかたすみで「お仕事」とつぶやくブログです。

先回の記事で、カンパニーカーについて書きました。

ディーゼル車規制が進む背景

この際、少し触れたのですが、現在ドイツではディーゼル自家用車への風当たりが強まってきています。その背景には以下の3つの点が挙げられます。

環境問題意識の高まり

まず第1に、環境問題の高まりが挙げられます。1970年以降、地道にドイツ政界の中で環境問題を訴えてきた「緑の党」。2011年の東日本大震災による原発事故以降、その支持にはさらに勢いがつき、ドイツ南部バーデン=ビュルテンベルク州ではついに州知事を擁立するようになりました。

最近話題のFriday for the futureのデモの影響もあり、2018年2019年には地方政治・国政問わず既成政党に肩を並べる支持率を獲得するに至りました。政権も緑の党の意見を無碍にすることはもうできなくなりつつあります。これは車の排ガス規制だけではなく、スーパーでのレジ袋の有料化、再生可能エネルギー導入に伴う電気代の上昇、などなど市民生活にも影響を与えるものが少なくありません。

他には、ドイツ環境支援協会(DUH)が大気汚染の進むドイツ各都市で起こした、「ディーゼル車乗り入れ規制など具体的な行動計画を伴う環境改善政策の推進」の訴えが司法界でも認められたことも大きな背景でしょう。

EU本部の排ガス規制方針

2013年に策定された第7次環境行動計画では、 「循環型経済」により重心を置く成長を模索しています。温室エネルギー消費の節約はもちろんのこと、従来、廃棄物として処理されていたものの資源としての有効利用に対しても投資の枠を拡大しています。

EUは加盟各国に対し、都市内の大気汚染状況により、具体的な都市名も出しながら積極的に温室効果ガス削減を求める声明も出しています。

自動車メーカーの不手際

環境問題意識の変化とともに、自動車業界のロビー活動が以前のようには勢力を大きく展開できなくなってきたことも背景の1つにあります。2015年にフォルクスワーゲンの排ガス規制基準検知装置への不正が発覚。これ以降、比較的価格の安い軽油を利用できるということで人気のあったディーゼル自家用車への疑念も出てくるようになりました。

日本でも一時期、石原都知事時代に話題になったことがありますが、適切な触媒や排ガス正常化装置を設けていない車両の排煙は目に見えて黒かったりします。これまでであれば、自動車業界の影響力が強く、またこの業界で働く人間の割合も高かったので、歴代政権も自動車への規制には及び腰で、業界主導で漸進的に環境に配慮した自動車が開発されてきました。

しかし、現在、世論は環境保護に傾き、また、都市内部ではその生活環境をより良くすることに主眼が置かれています。

他国に比べ、その導入がスローペースであった電気自動車に関しても、2019年は大手メーカーが本腰を入れて普及レベルの車両を次々に発表しています。

これからの規制はどうなるのか

現在の規制

現在、多くの都市で行われているディーゼル車規制は、以下のフロントガラスに貼ったステッカーに寄っています。

導入当初、多くの都市では「ユーロ4」規制以下の自動車に関して、市域内進入禁止等の措置が取られました。ユーロ4は2005年から2008年まで有効だったディーゼル車のNOx排出量規制です。つまり、2008年製造以前のディーゼル車は一律で規制されることとなりました。 10年落ちの車はもう走れません。 このことに関する反響は大きく、トラブルは大きくは起こりませんでしたが、自治体によっては、新型の車両の購入補助も出さざるを得なかったようです。中古車市場でも大きな影響があったと考えられます。

今後の見通し

現在、ハンブルクなど一部の都市では、道路限定ではありますがユーロ5以下の車両の進入を規制する動きも出てきました。これは2013年以前に有効だった規制になります。とうとう5~6年落ちの車でも走れなくなってしまいました。現行の規制は2014年に規定されたユーロ6です。この先もNOx規制はどんどん厳しくなるとみられています。ディーゼル車はハイブリッドに転換するなど方向性をがらりと変えない限り、今後の走行は難しくなってくると思われます。

電気自動車の未来?

自動車業界の切り札は電気自動車です。しかし、充電池とモーターが主要動力の電気自動車は必要な部品数がディーゼル車やガソリン車に比べると大幅に削減されることが既に知られています。

主要メーカーは下請け・孫請けと、数多くの部品メーカーを傘下に置いています。政権も大掛かりに電気自動車推進の旗を振れなかったのは、この自動車産業に従事している人の数とその影響力が背景にありました。

ただし、前述のとおり、ドイツも重い腰を上げ、電気自動車推進に動きつつあります。

一方、電気自動車は、モータリゼーション改革の端緒にはなってもゴールではないとする意見も多く聞かれます。すなわち、電気自動車が消費する電力も、元をただせば褐炭や石油などの化石燃料を燃やした結果であるとの意見です。※ドイツの電力生産元の上位は未だに露天掘りの褐炭です。(褐炭=質の低い石炭をブリケット状に処理したもの)

再生可能エネルギーで注目を集める風力も、日本よりかは効率がいいようですが、それでも送電時のロスは発生しますし、多く送電線は設置されることもあり、新たに景観上の問題も指摘されています。太陽光発電に活路を見出すにも、ドイツでは季節によって日照時間の差が激しいことがネックになります。

まだまだ完成形を見ない「クリーンな移動手段」。それでも、さまざまな場所で試行錯誤は繰り返され、いろいろな技術は進化しています。今後も注目の分野ですね。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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