独ルフトハンザが長距離路線にもLCC導入計画

ドイツで就活
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ルフトハンザが新たな航空子会社を立ち上げるようです。

これまでGermanwings、EurowingsといったLCC子会社を立ち上げてきた同社。

今度立ち上げる子会社(ブランド)はどういったコンセプトのものになるのでしょうか?

https://amp2.wiwo.de/unternehmen/dienstleister/flugverkehr-lufthansa-startet-neue-billigmarke-fuer-fernurlauber/25281484.html

独ナショナルフラッグのルフトハンザが、長距離版LCCを模索

スイスにシーズン限定の航空会社でEdelweissというものがあります。そしてこれはルフトハンザ航空の子会社。2020年を目処にこの航空会社の改組を行い、長距離専門のLCCにしようと画策しているようです。

まだ改組の詳細や、どんなLCCになるのか、公式の発表はありません。しかし、既にEurowingsでアジア便は就航した経験を持っているので、こうしたノウハウを新会社にも受け継いでいくことになるでしょう。

LCCと長距離路線

アメリカもSouthwest航空とアイルランドのRyanAirが勃興して以降、航空業界にはLCCブームが起き、様々な会社が誕生しては消えていく、、を繰り返してきました。

LCCはLow Cost Carrierの略で、徹底的なコストカットの上で運賃を安く設定している航空会社を指します。航空自由化の流れの中、1つの国の中に、複数の航空会社が存在できるようになり、価格競争の中で出てきた存在と言えます。

LCCのコストカット

コストカットの中には、空港使用料を削るために都市部に近いメインの空港ではない郊外のサブ空港を使用する例や、機内の食事をすべて有料のものに置き換える、預入荷物はすべて有料にするといった政策がよく行われます。

LCCを利用する乗客は基本的に、通常の航空運賃以外は払いたくはありません。ですので、機内での飲食物を有料にすれば、それを必要とする人の数は減ります。その分搭載荷物を減らすことができます。これは預入荷物にも言えること。「有料になるのであれば」みんながんばって手荷物の範囲内で抑えようとします。この分搭載荷物が減ります。

合わせて、機内を眺めてみると、シート間隔がLCCでない航空会社のものよりも狭い事に気づきます。できるだけ詰めて乗客を多く収容できるようにしているんですね。

(余談ですが、LCC機内では飲食ができないこともあり、LCC搭乗ゲートの周りには自販機や売店が充実するようになってきました。単価はこちらの足元を見て外部に比べればとても高いのですが、これはこれで嬉しい傾向ではあります。)

航空会社の運営にはそもそも必須なものが多い

そもそも飛行機の運行には、必要なものがたくさんあります。

飛行機を飛ばすにはパイロットが必要です。パイロットになるためには免許証(ライセンス)が必要ですが、これ、自動車のものと違って1度取得すると無制限に運転できるものではないのです。旅客機のライセンスは、機種ごとに発行されます。ですので、複数の機種を抱えている運行会社は、それぞれの機種に対応したライセンスを持っているパイロットを備えなければなりません。会社が新しい機種を導入する際には、パイロットが新しいライセンスを取得するか、すでにそのライセンスを取得しているパイロットを採用するかの2択になるわけです。

(なので、ある飛行機がヒットすると、採用会社が続々と増え、長い期間製造がされるようになる傾向があります。これは採用会社の多い機種であれば、必然的に当該ライセンスを取得しているパイロットも多いからリクルートもはかどるというわけです。)

(余談ですが、そういう点から見ても新規に航空機製造にチャレンジするというのは、とても高い障壁があるのです。よほどの性能がなければマイナーな機種には誰も見向きしません。開発費だけではないんですね。)

加えて、飛行機の日々の整備をする地上設備も必要です。毎日飛ぶわけですから、整備の質を落とすことはできません。(ただ親会社に他の運行会社がある場合、整備の委託もできるようです。)

その他空港の使用税や関係当局からの航空運営の許認可も必要です。

となると上述のように削減できる箇所は、あまり多くはありません。航空機自身の塗装、燃料、乗客サービスなどが対象になるわけです。

ルフトハンザとLCC

短距離便ではLCC全盛のヨーロッパ。ルフトハンザもGermanwingsとEurowingsを展開させてきた背景には、従来のサービス充実の便を飛ばしていても、それに魅力を感じる乗客が減っていったことあげられます。インフレが進むヨーロッパですから、お金を削れるところはもうそれだけでメリット満載なわけです。いくら無料のドリンクがあったとしても・無料のご飯が出てきたとしても、支給されるのはフライトのうちでせいぜい1回です。他のサービスもあわせて簡素化されていたとしても、価格の安い方に顧客は流れてしまうでしょう。

ルフトハンザとしても、機内サービスの刷新は考えたはずです。しかしナショナルフラッグキャリアの矜持がそれを許さなかったのではないでしょうか。LCCにながれず、ルフトハンザを選ぶ顧客はただ青く塗られたルフトハンザに乗るだけではなく、ルフトハンザのサービスも期待して乗ってくるわけです。そこを裏切るわけには行かない。

とはいえ、上述の通り搭乗客の大半はLCCに流れていきました。ルフトハンザ傘下Eurowingsの便数も加速度的に増えていきました。一時はルフトハンザ国内便をすべてEurowings便に置き換えるのではないか?などの噂が立つこともあったほどです。(ハンブルク・フランクフルト・ベルリン・ミュンヘンなどの主要都市を結ぶドル箱路線はまだ手放していません)

ルフトハンザが狙う新たな長距離LCCとは

長距離でLCCを成功させた者はいない

上述のように、ルフトハンザは国内での自社便のLCC転換を積極的に展開してきました。Eurowings自身、現在ではEU域内であればあちこちに飛んでいます。私も乗る機会が以前と比べて増えてきましたし、広告の数も増えてきています。

そして表題の長距離版LCCです。ついにルフトハンザは大西洋路線や中近東・東アジアに向かう便を対象にLCC化に踏み切るようです。

しかし、長距離版LCCはその構想自体は決して新しくないものの、いまだ一般化はしていません。それには「短距離版LCCでのコストカットが長距離便だと生きにくい」ことが理由にあげられます。

言ってしまえば、LCCは薄利多売商売です。乗客1人にかかる運行コストをコンマセント単位で削っていって、それを便数で掛け合わせてフルサービス運行との差額で利益を出しています。とにかくチケットをさばき飛行機を飛ばさないことには利益が増えません。

翻って大西洋便などの長距離便では、需要は大きいとは言え、EU域内便ほどの頻度では飛んでいません。また、搭乗客へのサービスにしても5時間超えのフライトでドリンクを一切提供しないというのは人道的に問題があります。食料にしても同じことが言えます。有料メニューとの差別化は可能でも、無料メニューの提供は削除できない項目です。また、日帰り客や短期滞在客の割合も極端に減ってきて、長期滞在を目的とするお客が増えます。そうなるといくら有料にしたとしても預入荷物は増えることになります。搭載物削減による燃費削減も効果が薄くなってしまう。

事程左様に、長距離便でコストカットをするのは難しいのです。

ルフトハンザの野望

私はルフトハンザは以下5点のような対抗策を練って、長距離版LCCを飛ばすのではないかと考えます。

就航地は主要観光地

長距離版LCCのベースにするのは、スイスにあるEdelweissと見られています。この航空会社は、季節限定で飛行機を飛ばす珍しいキャリア。もともと観光路線向けなのです。観光路線重視は新会社でも引き継がれるでしょう。ウキウキ気分の搭乗客にLCCとはいえお金は使ってもらう算段です。合わせて、将来の路線開拓に向けた実証実験も積み重ねていきます。

プレミアムエコノミー席を配置しそこでのサービスの充実度を上げる

これも搭乗客にお金を落としてもらう算段の1つですね。アップグレードを促す一方で、サービスも充分なものを提供するとアピールです。

エンタメ機能を充実させ、シート間隔が狭くとも意識を他に集中させる

長く座っているのであれば、ある程度のシート間隔は欲しいもの。しかし、LCCですから1便あたりの搭乗客数は限界まで増やさないと利益はでません。ただ、何もない空間で座り続けるのは大変な苦痛。ここは他に注意をそらすことで気を紛らわしてもらいましょう。エンタメ機能の充実は必須です。無線LANも備えれば言うことなしです。

各座席にペットボトルウォーターを予め配備

これは搭載荷物の削減の一環です。従来のように希望の無料ドリンクを支給していたのでは、きっちり乗客分の準備は難しく大量の予備を搭載する必要があります。しかしペットボトルウォーターであれば、搭乗客分+αの準備で済みますし、地上でのセットアップのさなかに準備できるのでギャレーに積載する必要もなくなります。

スナック類(無料)とホットミール(有料)の区別を厳格化

食料に関しては、予め座席に配備するのは難しいでしょうから、従来のように通路を通っての支給になるものと考えます。しかし軽いスナックをメインにし、重量のあるホットミールは有料にすれば、そこでも搭載を減らせることができるでしょう。

まとめ

今回はルフトハンザのLCC展開に絡めてLCCについて解説してみました。どんな航空会社が誕生するのか私も楽しみです。

これを読んで航空会社に興味を持たれた方。以下のサイトで当業界の求人情報に目を通すことができます。興味があったら是非どうぞ。

https://www.career.aero/
airliners.de - Luftverkehrs-Nachrichtenportal
airliners.de, das Verkehrsluftfahrt Branchenportal bietet Ihnen einen jederzeit aktuellen Überblick der wichtigsten Branchenthemen.

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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