みなさん、ドイツで就活がんばってますか?
求人応募は試行錯誤の連続です。どんな企業が自分に興味を持ってくれるのかは、応募してみないことには分かりませんし、最初はお祈りメールの連続かもしれません。
日本でも同じですが、大半は知らない名前の会社が多いと思います。
そして、業務内容に興味を持ってホームページを見ていくと、いろんな企業の情報を仕入れることができるという繰り返し。
経済の流れをつかむためにも、いろんな会社の情報を知識として持っておくのはいいことです。
今日のテーマは、そんな謎企業が出している求人のタイトルにつけられた「DACH」。
この4文字について解説していきます。
DACHとは
略語の正体は、
Deutschland(ドイツ語表記) Austria(英語表記) Confoederatio Helvetica(ラテン語表記)
を表し、それぞれ、ドイツ・オーストリア・スイスの意味となります。
国境を越えてビジネスしている企業にとっては、ドイツ語話者圏を指す言葉になっています。
ローカルの企業では、この4文字をつけることで「将来的にオーストリアやスイスで働く可能性もありますよ」ということを暗に示している例もあります。ただ、転勤内示の際は、従業員に相談はありますし、無理に辞令が出ることはもちろんないです。
しかし気になるのは、なぜこんなあちこちの言語を組み合わせて3カ国を表しているのでしょうか?答えは車のナンバープレートにあります。
上記写真のように、現在ヨーロッパで登録されている車両のほとんどには国籍を表す略称が付加されています。この略称は国際基準で定められているもので、ナンバープレートに限ったものではないのですが、よく目につくのはやはりこのプレートですね。EUの国家間の移動を自由にする方針が定まって以降、EU加盟国に限っては国籍表記が義務付けられました。(でないと交通規制違反車両を特定できなくなってしまいますから) この方針は非EU加盟国にも影響を及ぼしていて、ナンバープレートの国籍表記はヨーロッパ全域に広がっています。
EMEAとは
いい機会ですので、こちらでよく目にするほかの略称表記もご紹介しましょう。
筆頭は、これも目にすることが多いEMEA。ヨーロッパに進出している外資系企業がよく使う略語です。
Europe(欧州), Middle East(中近東), Africa(アフリカ)をそれぞれ指しています。これはすべて英語ですね。
「アフリカにも顧客がいるけれども、現地出張所の役割はヨーロッパ支社が対応しています。」などの際に使われる表記となります。これは求人というより社名やセクション名でよく使われます。
その他の表記
APAC – Asia Pacific を意味してアジア・太平洋地域を指します。*オーストラリアとニュージーランドは入ったり入らなかったりしますので、もしこの用語があったら、場合によっては注意が必要かもしれません。
AMER – AMERica で北米と南米を指します。
余談:ヨーロッパに滞在していると、よく感じるのがこの「America・Amerika」という表記のちょっとした違和感。日本人の感覚だと「アメリカ」と聞くと無条件に「アメリカ合衆国」をイメージすると思いますが、欧州で「アメリカ」というと「アメリカ大陸」を表すことになるんですね。すなわち、カナダからチリまですべてを指します。「アメリカ合衆国」を現すときは「US」(ユーエス・ウーエス)となります。
EMEACIS – 上記のEMEAにCIS(独立国家共同体=旧ソ連構成国)が付け加わり、ヨーロッパに加えて、ロシアと旧ソ連構成国(ウクライナやベラルーシ、アジア枠に入るカザフスタンやキルギス)も対象になります。
Benelux– 日本語でも「ベネルクス三国」との表記を目にします。Belgium, Netherlands, Luxembourgでそれぞれベルギー、オランダ、ルクセンブルクを表し、第二次大戦後すぐに共通外交方針をとり歩調を揃えた国々をさします。
この3カ国は隣り合っていて、しかも独仏という大国に挟まれていますから、戦後の共同外交政策策定はとてもスピーディーでした。今日の欧州共同体のコアとも言える存在です。(主要なEU機関はベルギーの首都ブリュッセルに集中しています。)
MED – Mediterranean Basin (region) を表し、地中海諸国を指します。時計順に表記すると「南欧・トルコ・(近東諸国)・エジプト・北アフリカ諸国」となります。
まとめ
多国籍で事業を展開する企業にとって、担当地域で部署が異なることはよくあるお話。こういった略語が出てくると、どう世界展開しているのか気になってくることでしょう。企業研究の際にはキーになる用語です。
能力・資格に関する略語についても記事にしているのでよろしければご覧ください↓
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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